人工関節|【公式】新川新道整形外科病院|札幌市北区の整形外科

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人工関節

人工関節|【公式】新川新道整形外科病院|札幌市北区の整形外科

当院における変形性膝関節症の治療

  • 運動療法(リハビリテーション)
  • 関節注射(ヒアルロン酸注射)
  • 薬物療法(消炎鎮痛剤、変形性関節症や慢性疼痛に特化した内服、外用)
  • 先端医療(PFC-FDによる治療)
  • 手術的治療(UKA, TKA)

運動療法(リハビリテーション)

ヒトの身体の関節軟骨は、性別・年齢・過去の外傷歴・家系(遺伝的要素)等により歳を重ねるたびに減少し、再生が難しい臓器と言われています。逆に再生可能な運動器と言えば思い浮かびますでしょうか?「軟骨トレーニング」という言葉は聞きませんが、「筋トレ」という言葉はよく聞きます。筋肉は年齢が増してもある程度は再生可能と言われています。
当院では、内服、外用、注射といった対症療法と併行して、それらよりも何より、運動療法(リハビリテーション)を重視します。専属・精通した理学療法士により、膝関節を介する筋肉(大腿四頭筋・ハムストリングス)を中心とした筋力・筋量の増強、柔軟性の向上、膝を確実に伸展して歩くための可動域訓練(歩容の改善)、骨盤や脊椎アライメント矯正による全身姿勢の改善などを中心に、軟骨が再生しない分、残された機能を最大限に利用・強化・矯正することで、変形性関節症の除痛に努めます。実際、膝周囲の筋肉の緊張がとれるだけで、疼痛が軽減することが証明されています。

関節注射

ヒアルロン酸ナトリウムを中心とした関節注射を初期は1~2週に1回、計5回行うことが可能です。動物研究によると、巷で販売されているサプリメントなどでヒアルロン酸を内服しても、関節内に到達する量はごく微量です。ヒアルロン酸を関節内に確実に注射することで、軟骨面の表面滑性の向上、保護、滑膜炎の消炎作用などにより除痛効果が期待できます。効果はあるが持続しない場合は、その後も2~4週に1回継続が可能です。ただし効果が全く持続しない場合、変形が著明であり転倒のリスクが高まりADL(Activity of Daily-Life / 日常生活動作)低下に繋がる場合などは他の治療も併せてご提案いたします。また変形による滑膜炎で、水がたくさん溜まり痛みも伴う場合は、先端医療(PFC-FD)の効果も期待できるため、おすすめしております。

薬物療法(消炎鎮痛剤、変形性関節症や慢性疼痛に特化した内服、外用)

以前から使用されているロキソプロフェン等の消炎鎮痛剤に加え、変形性関節症や慢性疼痛に特化した鎮痛剤(様々なタイプのOpioidやSNRI)の処方、変形性関節症に特化した外用剤などの処方が可能です。基本は痛みを和らげる対症療法になりますが、最近の薬剤は痛みに対して過敏に反応するようになった神経の興奮を抑え、根本的に痛みに対する閾値を上げる薬剤(SNRIなど)の提案も可能です。薬剤は合う、合わないがありますので、御希望にそって変更していくことが可能です。

先端医療(PFC-FDによる治療)

ヒアルロン酸注射の効果はあるが長持ちしない、2週に1回も通院できないし注射も痛いからイヤだ、という方へご提案する治療です。今までのPRP-APSによる治療経験から、関節内に水がたくさん溜まり、痛みを伴う変形性膝関節症の患者様には特に、効果が期待できます。御自身の血液を約50cc採血させていただきます(献血の1/4程度)。専門研究機関に送付させていただき、試薬を入れ遠心分離することに、成長因子やサイトカインが豊富な層を抽出(PRP, APS)、それを無細胞化フリーズドライした物(PFC-FD)を約3週後に受け取ります。それを当院で関節内に注射します。注射自体は普段のヒアルロン酸注射とほぼ同じ手順です。フリーズドライ化されており、半年間使用可能です。豊富に含まれた組織修復因子が、傷付いた組織の修復力を高め、除痛に繋がります。保存的加療の最後の一手であり、一度トライしてみてこれでも効果持続が乏しい場合には人工関節をおすすめいたします。これは、テニス肘や腱鞘炎など、しぶとい炎症性疾患にもよい適応です。

手術的治療(UKA, TKA)

上記保存的治療が奏効しない場合、また変形が著明で歩容も悪く、転倒のリスクが高まり、膝が悪く転倒→大腿骨や腰椎の骨折の原因になる可能性がある場合、更には将来起こりうるかもしれない骨折後に「骨折は繋がったのに、膝が悪いがために術後リハビリが思うように進まず寝たきりになる」可能性がある場合は、手術的加療をおすすめしています。70~80歳代が適応年齢です。前述の様に、最近では90歳代の大腿骨や腰椎の骨折の患者様が急増しており、骨折の治療が成功しても、膝の変形がネックとなり寝たきりになる超御高齢の方が増えています。人工関節手術もある程度大きな手術ですので、そうなってからでは残念ながら人工関節はおすすめできません。変形が強い場合は我慢しすぎて後悔しないよう、適応年齢期間での人工関節手術をおすすめしています。

当院での膝人工関節手術

手術室と麻酔

麻酔は全身麻酔で寝ている間に手術が終わります。全身麻酔は日本麻酔科学会専門標榜医が担当します。全身麻酔だけでは目が覚めると手術部の痛みを感じるため、適応のある患者様には持続硬膜外麻酔(腰から脊髄に細いチューブを送りそこから痛み止めを術後2日間送り続ける)および術直後の除痛注射(オピオイドカクテル局所麻酔)、さらには内服・坐薬・点滴などで術後の徹底的な除痛を目指します。手術には傷んだ関節の内側だけを取り替えるUKA(単顆置換型人工関節)と内も外も取り替えるTKA(全人工膝関節)があります。当院では、御自身の靱帯がしっかり残っている、O脚変形が強くない、ないしは容易に矯正される患者様には、より侵襲の少ないUKAをおすすめしております。

UKA(人工膝関単顆置換術)

UKA

  • 適応:御自身の靱帯がしっかり残っている(術前にMRIでチェック)おり、内側だけの変形の患者様で、O脚変形が著明でない、もしくはそれが容易に矯正できる患者様はこの手術を適応可能です。
  • 利点:手術創がTKAよりは小さく、骨を削る量も少ないため、術後疼痛がTKAよりも少ない。自身の組織を温存し、自身の靱帯で膝を動かすため、より生理的で伸び曲がりもTKAより良く、術後回復・退院が早い。
  • 弱点:片側だけの置換のため、関節のバランスを大きく変えることができない(O脚が強い患者様には適さない)。内側も外側も変形している患者様には適応にならない。歩容などのストレスでバランスが崩れはじめると人工関節の緩みがTKAより早めに生じることがまれにあり、将来TKAを行わないといけない場合がある。また、軟骨の代わりをするインサート(人工関節間に挟むポリエチレン)が脱転することがあり、再手術を要することがある。
UKA
UKA術前レントゲン
UKA術前レントゲン
術前MRI(十字靱帯に断裂が無いことを確認)
術前MRI
(十字靱帯に断裂が無いことを確認)
UKA術後レントゲン (正面)
UKA術後レントゲン
(正面) 
(側面)
(側面)

*個人情報保護の観点から、個人が特定できない状態にしたデータの使用に関しましては、患者様より初診時に使用の同意を得ております。

TKA(人工膝関節全置換術)

TKA

  • 適応:膝の痛みが強く保存的加療に抵抗性で、画像的にも膝に変形を認める患者様。O脚やX脚が強いため歩容が悪く、将来転倒のリスクがある方。70~80歳代が理想。
  • 利点:激しい変形がある場合にも脚をまっすぐに治すことが可能で、全置換のため自身の靱帯などが傷んでいても手術により安定した成績が得られる。簡易ナビゲーション等を用いることで、より正確な手術が可能。
  • 弱点:傷がやや大きい。UKAより骨を削る量が多く、内部の侵襲が大きいため、術後疼痛が長めに継続する場合がある。リハビリに時間を要する場合がある。また、機械的に屈曲の限度は120度程度である。将来的に反対側もTKAを行わないと、左右の脚のバランスが悪くなる。
TKA
TKA術前レントゲン (正面)
TKA術前レントゲン
(正面)
(側面)
(側面)
TKA術前レントゲン (正面)
TKA術後レントゲン
(正面)
(側面)
(側面)

*個人情報保護の観点から、個人が特定できない状態にしたデータの使用に関しましては、患者様より初診時に使用の同意を得ております。

術後リハビリテーション

術翌日より専任の理学療法士がつきリハビリを開始します。翌日は車イス移乗訓練、立位訓練、2~3日で歩行訓練も開始となります。自動で動く器械を用いた可動域訓練(CPM)も行います。1週前後で歩行器歩行が可能となり、その後は杖歩行や独歩訓練を行います。UKAでは、以前の歩行レベルとほぼ同等まで回復される、3週前後で退院を目指します。一方、TKAでは、約1ヶ月で退院を目指します。自宅でも以前と遜色ない生活レベルに改善されるためには、退院後もリハビリを継続し、手術から約2~3ヶ月後を要します(個人差があります)。当院は地域包括病床も有するため、継続してじっくりと入院リハをされたい患者様は、更にプラス2ヶ月入院リハビリが可能で、万全の状態での退院が可能です。また、両側の手術を御希望の患者様は、一旦退院され、日常の社会生活に戻られてから改めて反対側の手術に臨まれることをおすすめいたします。